高音発声のコツは力を抜く
発声は「力を入れる」か「力を抜く」の2通り
ジャンルや用途によって、一見全く違うものに見える方法でも、それらの根幹になる普遍的な正しい発声法は、簡単に言うと「力を抜いて実現する発声法」である。
声の出し方を突き詰めていくと、結局全ての発声法は「力を入れて実現する発声法」と「力を抜いて実現する発声法」に2通りに分けられる。
実際に力を入れても抜いても、はっきりと発音できたり、高音を出したりすることができます。そして、アマチュアのほとんどは力をいれる発声法を選んでしまうのです!
発声の「力を入れる」と「力を抜く」の違い
① 発声者自身にかかる身体的な負担
力んだ発声は、声帯に大きな負担を掛け、損傷やさらなる力みを生む、悪循環の原因になります。
発声には刹那的な結果よりも、長期的な好循環んを維持することの方が優先すべき事柄なのです。
② 明らかな音色の差
音色とは、つまり「出た音の良し悪し」のこと。たとえ力を入れることで、はっきりと発音できたり、高い声を出すことができたとしても、その音色の美しさにおいて、力を入れて実現した発声とは雲泥の差があります。
脱力して発声をするイメージ
ボイストレーニングとは、ノコギリやカンナの使い方に例えられると思います。
知っての通り、ノコギリやカンナを上手に使って木を切ることは難しいことですが、力任せに木を切ることは簡単です。
あくまで、「力を抜いて気を切ること」が難しいのであり、そうでなければこれらの道具を使いこなしているとは言えません。
この例でも力を入れて実現する方法と、力を抜いて実現する方法には、本人の身体的な負担はもとより、切った木の断面の滑らかさにおいても、雲泥の差があることになります。
【参考文献】 「舌根をやわらかくすると高い声が楽に出せる」 立林淳 著